「お盆は海に入っちゃダメ」
「お盆に海へ行くと亡くなった人に呼ばれて帰れなくなるよ」
と、そんなことを聞いた経験はありませんか?
毎年、お盆の時期になると里帰りしていた親子が海で溺れたり
川に流されるといった悲しい事故が起こりますね。
お盆に海に入ることは、本当に迷信なのでしょうか?
なぜこのような縁起の悪い言い伝えが昔からあるのか
その理由を考えてみたいと思います。
目次
お盆とは?
お盆とは、仏教行事の「盂蘭盆会」、読み方は「うらぼんえ」が語源となっています。
地獄の飢餓道に落ちて苦しむ弟子の母親をお釈迦様が供養して救ったという
仏教故事と日本古来の祖霊信仰が融合し
お盆にはご先祖様の霊が子孫や家族の元に帰って来るため
心を込めて供養して過ごす期間とされています。
お盆の期間は、地域によって7月に行われることもあるようですが
一般的に8月13日から8月16日の4日間が多いようです。
8月13日に「迎え火」を焚いてご先祖様が迷わず家に来られるようにしてお迎えし
14日・15日は仏壇の前に精霊棚を設け供養します。
お盆明けの16日に「送り火」を焚いて浄土へお送りすることが風習として定着しています。
言い伝えの数々
昔から各地に様々な言い伝えがあるようです。
・お盆に海に行くと事故で無くなった人達の霊に足を引っ張られるから入っちゃダメだよ。
・沖縄では海で亡くなった人が、海を泳いで里帰りしてくると言われています。
・生きている人が海で泳いでいると、寂しいからあの世に一緒に連れて行かれるよ。
言い伝えの根拠と理由
さまざまな言い伝えがありますが、実際この時期に海で亡くなる人が多いことから
「迷信」と一言で済ませるには疑問がありますね。
なぜこの時期、海での事故が多いのでしょうか?
言い伝えの根拠と理由をお伝えします。
1 「土用波」による自然現象
土用波と呼ばれる非常に危険な大波による事故が起こりやすいです。
遠くの海で発生した台風による波が、海岸に着く時に巨大化し
通常の3倍近くの大きさとなって人を飲み込んでしまうことがあります。
泳ぎに自信のある人も一溜まりもない危険な波です。
2 クラゲが増えてくる
お盆の時期になるとクラゲが増えてきます。
クラゲは毒を持っているため、刺されると激痛が走り死に至る場合もあります。
また、刺されたことに驚き溺れてしまうこともあります。
3 海水の温度が急激に下がる
海の中で最初は温かいと感じていても、急に冷たいと感じたことがありませんか?
この時期は、太陽によって海面温度が温かくても海水温は低いことがあります。
海の中に入って急激に海水温が下がることで、筋肉が痙攣したり心臓麻痺が起こり溺れることがあります。
4 「離岸流」による事故
離岸流とは、海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れの事を言います。
この離岸流が発生すると膝くらいの深さでも一気に巻き込まれて遠くに流されてしまいます。
引っ張られる感じになるので、「霊に足を引っ張られる」という言い伝えになったのかもしれません。
5 教訓的意味
お盆の時期は海で遊びまわっていないで帰ってきたご先祖様をきちんと供養しなさい
と言う教えをこの時期に起こる海の危険性と合わせて教えてくれているのかもしれません。
まとめ
よく「悪いことは水に流す」と言う言葉が用いられるように
日本人は水との繋がりが深い民族と言えると思います。
お盆明けには送り火と同じ意味を持つ「灯篭流し」や「精霊流し」
という古くからの風習が残っている地域もあります。
水のある場所は霊の通り道と考えられてきたことが
お盆の時期にまつわる数々の迷信を生み出したのではないでしょうか?
お盆は、家族・親戚とともにご先祖様と静かに時間を共有することが本来の過ごし方なのかもしれません。
自然現象の危険をよく考え、この時期は海に入ることは避けた方が良いかもしれませんね。